腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは繊維輪に亀裂が生じることで髄核が繊維輪を突き破って飛び出してしまうことを言います。
飛び出した椎間板が神経などを圧迫するために鋭い痛みや痺れが生じます。
腰椎椎間板ヘルニアの種類は大きく2つのタイプに分かれます。
膨隆型と脱出型の2タイプです。
<膨隆型>
繊維輪に亀裂が無く、髄核が繊維輪から飛び出さず、髄核と繊維輪が一緒に膨れ出るタイプです。
一般的に膨隆型ヘルニアの方が脱出型より多く、若い人に多いようです。
膨隆型は脱出型より症状は弱いが、長引くことが多いです。
<脱出型>
繊維輪に亀裂(ヒビ)が入り、中の髄核が繊維輪から完全に飛び出たタイプです。
脱出型は症状が激しく痛みが強いわりに、数ヶ月で症状が軽くなることが多いです。
また、脱出程度がひどくなり、後縦靭帯を破ると腰痛よりも強い下肢痛(足の痛みやしびれ)が主体となります。
腰椎椎間板ヘルニアがおこる場所としては、「腰椎4番と5番の間」と「腰椎5番と仙骨1番の間」が最も多いです。
また、腰椎椎間板ヘルニアになる年齢は20~40代が多く、女性より男性の方がなりやすいのです。
症状としては・・・
- 腰から足先にかけてしびれや痛み
- 前かがみの姿勢で痛みが強くなる
- 脊髄神経(神経根)を圧迫するため坐骨神経痛などの症状を引き起こす
- せきやくしゃみでも激痛がおこる
- 腰を曲げないと痛みで立っていられないほどの腰痛と下肢の痛みがある
といった激しい腰・足の痛みやしびれが出ることが多いです。
また、重度の場合「排尿困難」、「便秘」、「インポテンツ」といった障害がでることもあります。
ヘルニアの大きい、小さいによって、症状の度合いが違います。
ただ、ヘルニアも数ヶ月経つと自然と吸収されて痛みが引いていくこともあるのです。
腰椎椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアは椎間板に強いストレスが加えられることによっておこるのです。
20歳代を過ぎてから椎間板はだんだんと弾力性を失われていくと言われています。
そうなると、ちょっとした動作による衝撃や圧迫に耐えられず、椎間板内の髄核が突出しやすくなるのです。
椎間板ヘルニアはこういった椎間板の老化や加齢からくる骨粗しょう症が原因していると言われてはいますが、ほとんどの場合は日常生活での片寄った体の使い方や悪い姿勢からきているのです。
椎間板ヘルニアになるきっかけとして・・・
- 中腰で重いものを持ったり、運んだりした
- 腰を強くひねるなどの激しいスポーツをした
- 長時間の座り仕事や運転
などがありますが、ヘルニアの根本原因ではなくこれはきっかけにしか過ぎないのです。
では、腰椎椎間板ヘルニアの根本原因は何か?
椎間板ヘルニアは椎間板に強いストレスや負荷がかかるからおこると先ほど述べました。
それは・・・
背骨が曲がる、変形するからなのです。つまり体がゆがむからです。
背骨が曲がったり、骨盤がねじれたりする体のゆがみの原因として・・・
- 手を片寄って使う動作や仕事
- 常に片側の足にばかり体重をかけた姿勢や動作
- 中腰などの腰に負担のかかる姿勢
こういった体の片寄った使い方や動作の積み重ねで、左右の筋肉に違いが出てきます。
そうすると背骨や骨盤が左右どちらかにひっぱられ、ゆがんでくるのです。
ゆがみによって腰に負担がかかり、そのゆがみがだんだん強くなってくると椎間板が潰れてしまい、ヘルニアの症状が出てしまうのです。
腰椎椎間板ヘルニアの対処法
腰椎椎間板ヘルニアの根本原因は「体のゆがみ」ですので、ヘルニアを改善するためにも「ゆがみ」を直す必要があります。
ところが、一般的な椎間板ヘルニアの治療法は・・・
- ヘルニアの除去手術
- 腰へのブロック注射
- 腰を中心としたマッサージ
- 腰への電気治療・牽引
- 腰への鍼治療
といったいわゆる「対症療法」がほとんどです。
たとえ、外科でヘルニアの除去手術を行なっても「ヘルニア」が飛び出る原因を治さなければ、またヘルニアが再発してしまうのです。
「体のゆがみ」という原因を直さずに、症状がでている部分(結果)だけ治そうとしても結局また痛みがでて、元の木阿弥なのです。
「体のゆがみ」を直すことが腰椎椎間板ヘルニアの元を断つということなのです。
体のゆがみの原因は「左右の手足を片寄って使う」ことなので、
ゆがみを直すために「手足の筋肉を左右揃える」必要があります。
手足が左右対称性になることで、背骨や骨盤のゆがみがとれて体全体が真っ直ぐになり重心が真ん中にきて安定します。
そうなると、
「体の回復力や治癒力」が働いてきますので、椎間板ヘルニアによる腰痛や足の痛みやしびれがだんだん気にならない状態になっていくのです。
腰椎椎間板ヘルニアは髄核が椎間板から飛び出て、神経根を圧迫して痛みが起こるのですが、
ゆがみを直し背骨や骨盤を元の状態に戻してあげることでこの飛び出た髄核が吸収されるのを早めるのです。
ただ、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛などのしびれは、他の症状と比べて時間がかかることが多いです。
腰椎椎間板ヘルニアの予防法
腰椎椎間板ヘルニアの予防は、
「体がゆがむ姿勢や使い方をしない」ことです。
- 「長時間同じ姿勢をしない、姿勢を変える」
- 「重い荷物を持ち上げるときは必ず腰を落とす」
- 「物を運ぶときはお腹に引き付けて運ぶ」
- 「横座り、ぺちゃんこ座り、足を組む」格好をしない
- 「左右の手足をなるべく均等に使う」
という具合に「普段の姿勢」や「体の使い方」を特に意識しましょう。
他にも、「タバコを吸う」と椎間板の血行が悪くなり、弾力性を失うことで椎間板ヘルニアになるリスクが高くなるというデータも出ていますので控えましょう。
また、足腰を冷やすことで筋肉が硬くなり柔軟性を失うことで腰への負担がダイレクトに掛かってしまいます。足腰はなるべく暖めるようにしましょう。
こういった予防もまずはしんそう療方で「椎間板ヘルニアがでている体の手足を左右対称性に揃えること」が先決です。
ゆがみは体を使っている以上、でてきますので定期的にそろえておくと「腰椎椎間板ヘルニア」も出にくくなります。
2011年6月6日